これから本格的に日差しが強くなる季節です。よく「紫外線アレルギー」があって・・・。なんて声を聞くことがあります。イメージはわきやすいのですが、正確な状態を指す言葉ではありません。
光線過敏症にはいくつかのパターンがあります。
まず、原因別に二つに分けます。外因性物質によるもの、内因性物質によるものです。多くは、外因性物質による光線過敏症です。その中でも湿布や香料、サンスクリーン、などによる光接触皮膚炎と飲み薬、サプリメント、食品などにより起こる薬剤性光線過敏症があります。
光接触皮膚炎で最もよく見るのは、湿布によるかぶれです。ケトプロフェンという成分が含まれている湿布剤では、紫外線に当たった後、強いかぶれ反応が起こることがあります。また、注意すべき事項として、日焼け止めにも光線過敏を起こす成分が含まれていることがあります。サンスクリーンには酸化チタンを代表とする「紫外線散乱剤」、オキシベンゾンを代表とする「紫外線吸収剤」があります。紫外線散乱剤は、紫外線を反射させて皮膚に届けない役割がある一方、紫外線吸収剤は、紫外線を薬剤が吸収して熱などのエネルギーに変換されるだけでなく、光線過敏を起こす原因になることがあります。サプリメントや食品でも、クロレラなどのサプリメントに含まれるクロロフィル、セリ科の植物やレモン、スイートオレンジ、グレープフルーツ、ベルガモットなどの柑橘系に含まれるフロクマリン類(ベルガモット油に含まれるベルガプテンが有名)という成分も光線過敏症を起こすことがあります。アロマオイルとしてこのような成分を使っていないか、チェックする必要があります。
飲み薬による光線過敏症は多くの薬剤でみられますが、ニューキノロン系抗生物質、ヒドロクロロチアジドなどの降圧利尿薬が代表的です。最近は高血圧の治療薬として降圧剤と降圧利尿薬の配合薬が多く処方されており、降圧剤としての効き目は良いのですが、その反面光線過敏症を多くみることになりました。また、サプリメントや食品として先述のクロロフィル、オレンジ類などを含んだものを多く摂取すると光線過敏症が発生することがあります。
ケトプロフェン、オキシベンゾンなどには共通の化学構造があります。
紫外線吸収剤や消炎鎮痛剤などがありますが、それぞれ共通の構造があることが分かります。
光線過敏症は気づかないことも多く、診断も難しいのですが、気になる物質を使っているかどうか、ということをよくチェックすることで防ぐことが出来るかもしれません。