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2026.09.22

ラプシド錠 じんましんの新しい内服薬

病気について

レミブルチニブとは

レミブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ:BTKを選択的に阻害する経口低分子薬です。日本では「ラプシド®錠25mg」として、2026年6月19日に、

特発性の慢性蕁麻疹
既存治療で効果不十分な患者に限る

という効能・効果で承認されました[1]。成人および体重40kg以上かつ12歳以上の小児に対し、1回25mgを1日2回経口投与します。第2世代H1抗ヒスタミン薬の増量など、適切な治療を行っても日常生活に支障をきたす症状が続く場合に追加投与する薬剤です[1]。

特発性の慢性蕁麻疹は、原因がはっきりしないじんましんで、膨疹(蚊に刺されたような赤みを帯びた盛り上がり)が6週間以上出現を繰り返すものを指します。

レミブルチニブの作用メカニズム

抗ヒスタミン薬が「放出されたヒスタミンの受容体を遮断する薬」であるのに対し、レミブルチニブは、より上流でヒスタミンを放出する細胞の活性化そのものを抑える薬です。
BTKは、肥満細胞、好塩基球、B細胞、マクロファージ、血小板などに存在する細胞内シグナル分子です。
レミブルチニブはBTKを阻害することで、概ね次の流れを抑えます。

IgEまたはIgG自己抗体
 ↓
FcεRIを介するシグナル
 ↓
BTKの活性化
 ↓
肥満細胞・好塩基球の脱顆粒
 ↓
ヒスタミンや炎症性メディエーターの放出

ラプシド錠が期待される効果

ラプシド錠の中心的なエビデンスは、抗ヒスタミン薬で症状が残る成人を対象とした第III相試験、REMIX-1とREMIX-2です。レミブルチニブ25mgを1日2回、抗ヒスタミン薬に上乗せしました。いずれの試験でも約半数が12週時点で良好なコントロールに到達し、約3割が1週間を通して膨疹・かゆみの完全消失を達成しました。完全消失率のプラセボとの差は約21ポイントで、比較的明確な臨床効果が確認されています[2]。

試験では投与2週目の段階からプラセボとの差が認められました。BTKを介した肥満細胞・好塩基球の活性化を直接抑えるため、比較的早期の症状改善が期待されます。

REMIX試験の52週解析では、25mg・1日2回による効果が長期にわたり維持されました。また、日本人71例を対象としたBISCUIT試験でも、抗ヒスタミン薬への上乗せで52週間の持続的な有効性が確認されています[3]。

ラプシド錠の安全性

REMIX-1/2では、全有害事象および重篤な有害事象の発現割合は、レミブルチニブ群とプラセボ群で概ね同程度でした。一方、点状出血はレミブルチニブ群3.8%、プラセボ群0.3%と、レミブルチニブ群で多く認められました[2]。

BTKは血小板活性化経路にも関係しているため、BTK阻害によって血小板機能に影響が生じる可能性があります。ただし、現段階まで本剤との因果関係があると判断された重篤な出血は確認されていません。

ラプシド錠の使用法、薬価

レミブルチニブ25mgを1日2回、経口投与します。薬価は2026年9月時点では決定していません。

よくある質問

Q1.レミブルチニブ(ラプシド®)とはどのような薬ですか?

レミブルチニブは、BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)という細胞内の情報伝達に関わるタンパク質を阻害する飲み薬です。
蕁麻疹では、皮膚にある「肥満細胞」などが活性化し、ヒスタミンなどを放出することで、かゆみや膨疹(皮膚の盛り上がり)が起こります。
レミブルチニブは、肥満細胞の中にあるBTKを阻害することで、肥満細胞の活性化やヒスタミンなどの放出を抑えます。
日本では2026年6月に「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」に対して承認されています。[1]

Q2.抗ヒスタミン薬とは何が違うのですか?

抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から放出されたヒスタミンがH1受容体に作用するのをブロックする薬です。
一方、レミブルチニブは、肥満細胞の中にあるBTKを阻害し、ヒスタミンなどが放出されるまでのシグナルを抑えるという違いがあります。
そのため、抗ヒスタミン薬とは異なる作用点を持つ治療薬です。

Q3.どのような蕁麻疹に使用しますか?

すべての蕁麻疹に使用する薬ではありません。
食べ物や物理的刺激など明らかな原因が特定できず、抗ヒスタミン薬を増量するなど適切な治療を行っても、

  • かゆみが強い
  • 膨疹が繰り返し出る
  • 睡眠や仕事、学校など日常生活に支障がある

といった症状が続いている成人の特発性の慢性蕁麻疹が対象となります。[1]
実際に使用できるかどうかは、これまでの治療内容や症状の程度、ほかに服用している薬などを確認して判断します。

Q4.どのくらいの効果が期待できますか?

海外を含む第III相臨床試験(REMIX-1、REMIX-2)では、抗ヒスタミン薬を使用しても症状が残っている患者さんにレミブルチニブを追加したところ、プラセボと比較して、かゆみと膨疹が有意に改善しました。
治療12週時点では、約半数の患者さんが「良好にコントロールされた状態(UAS7≦6)」となり、約3割では1週間を通して膨疹とかゆみが認められない状態(UAS7=0)となりました。[2]
ただし、すべての患者さんに同じ効果が現れるわけではありません。

Q5.飲み始めてどのくらいで効きますか?

比較的早い時期から症状が改善する患者さんもいます。
臨床試験では治療開始後の早い時期から症状改善が確認されていますが、効果の現れ方には個人差があります。
数日で効果が十分でないからといって自己判断で中止せず、かゆみや膨疹の経過を確認しながら治療効果を判断します。[2]

Q6.ラプシド錠はどのように飲みますか?

通常、成人では、1回25mgを1日2回服用します。[1]
抗ヒスタミン薬など、これまで使用している治療に追加して使用することがあります。服用方法については診察時に説明しますので、自己判断で量を増減したり中止したりしないようにしてください。

Q7.どのような副作用がありますか?

臨床試験では、上気道感染のほか、

  • 点状出血
  • 紫斑
  • あざ
  • 鼻血
  • 歯ぐきからの出血

などが報告されています。BTKは血小板の働きにも関係しているため、レミブルチニブを使用すると出血しやすくなる可能性があります。[1]いつもと違う出血や広範囲の紫斑などがみられた場合にはご相談ください。

Q8.抜歯や手術を予定しています。飲み続けても大丈夫ですか?

必ず事前にお知らせください。手術や処置の種類、出血リスクによっては、手術の前後3~7日間、レミブルチニブを中断することを検討します。[1]
抜歯、手術、内視鏡処置などを予定している場合には、自己判断で中止せず、処方医と処置を担当する医師・歯科医師にレミブルチニブを服用していることを伝えてください。

Q9.ほかの薬と一緒に飲めますか?

薬によっては注意が必要です。特に、ワルファリン、リバーロキサバン、アピキサバンなどの血液を固まりにくくする薬を使用している場合は、出血リスクを考慮する必要があります。
また、一部の抗菌薬、抗真菌薬、抗てんかん薬などは、レミブルチニブの血中濃度に影響することがあります。[1]市販薬やサプリメントを含め、使用している薬がある場合には診察時にお知らせください。

Q10.ゾレア®やデュピクセント®と一緒に使えますか?

現時点では、蕁麻疹に使用する生物学的製剤とレミブルチニブを併用した場合の安全性・有効性は確立されていません。電子添文では、適応疾患に対する生物学的製剤との併用は避けることとされています。[1]これまでゾレア®などを使用していた方がレミブルチニブへ変更する場合には、症状や治療経過をみながら治療計画を立てます。

Q11.妊娠中・授乳中でも使用できますか?

妊娠中は、治療によるメリットがリスクを上回ると判断される場合にのみ使用を検討します。妊娠する可能性のある女性では、服用中および最後に服用してから1週間は適切な避妊が必要です。
授乳中の場合も、治療の必要性と母乳栄養のメリットを考えて判断します。妊娠中、妊娠を希望している方、授乳中の方は必ず診察時にお知らせください。[1]

参考文献

[1]ラプシド®錠25mg 電子化された添付文書(ノバルティス ファーマ株式会社、PMDA、2026年9月4日更新)

[2]Mets M et al: Remibrutinib in Chronic Spontaneous Urticaria. N Engl J Med. 2025 Mar 6;392(10):984-994.

[3]Giménez-Arnau A M et al: Remibrutinib in chronic spontaneous urticaria: 52-week results from two phase 3 studies. J Allergy Clin Immunol. 2026 Jan;157(1):143-154.

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