ニキビで悩んでいる人はとても多いです。90%以上の人が一生に1回はニキビが出来るとも言われています。「青春のシンボル」としての生理現象であると軽視され、海外に比べるとニキビで病院にかかる人の割合は、日本ではかなり少ないことが分かっています。2011年の調査では、フランスで41%、イタリアで29%、韓国で29%の受診率があったのに対して日本では19%しかありませんでした。インターネットにはいろんな情報があり、惑わされることも多いです。情報は参考にしてもいいと思いますが、Youtuber などの体験談をそのまま信用するのは極めて危険です。あなたとそのYoutuberの肌質は同じではないからです。

ニキビの本質は?

ニキビは、毛穴の詰まり(面疱:めんぽう)を主体とする慢性炎症性疾患です。しかし、適切な治療をしないと跡をのこしてしまいます。過去のように赤くなったニキビだけが治療の対象と思っている方も多いかもしれません。以前の治療は抗生物質しかなかったためか、近年はニキビ菌(Cutibacterium acnes)の中に抗生物質が効かなくなってくる耐性株が増加してきたことが世界中で問題となっています。抗生物質で赤ニキビは改善しますが、面疱を治療していないと同じところからニキビが再発してきます。

ニキビの本質は面皰から始まるのですが、その原因はホルモンのバランスやストレス、生活スタイルや栄養のバランス、不適切なスキンケアなど多くのものがあります。2020年になってマスクの着用によるトラブルが急増しています。


ニキビの治療は「お顔の毛穴の詰まりをすべて治療する」ことが大切です。それを実現するための面疱治療は、我が国では処方箋が必要なので病院でしか行なえません。それが、ニキビを皮膚科で治療すべきもっとも重要な理由です。

ニキビで病院にかかったらまず行うこと

問診

普段のケア、どうしていますか?

まず、普段使っている化粧品についてお伝えすることは大切です。

・夜は何を塗っていますか?その順番は?パックやマッサージなどはしていますか?

・朝は洗顔後、何を塗っていますか?洗顔は何を使っていますか?化粧水、乳液、下地、ファンデーション、日焼け止め、、、など。予めメモをして受診していただくのも良いかと思います。

普段の日常的なケアがニキビの原因になることも十分ありえます。よく、化粧品の宣伝を誤解して一生懸命保湿した結果ニキビを悪化させている方を診察します。にきびがあっても保湿はして良いのですが、ベタベタになるような保湿は不適切です。油分がスキなニキビ菌にとっては「ごちそう」なので、つっぱらない程度のさっぱり、しっとりとした保湿がおすすめです。

  

ニキビを悪化させる持病、ありませんか?

ニキビが悪化する原因として、まれに持病や飲んでいる薬が関わることがあります。

多嚢胞性卵巣症候群 血液中のホルモン異常を原因とし、月経異常があります。ニキビや多毛をはじめとする皮膚症状も出ます。婦人科でのしっかりとした精密検査、および治療が必要です。

クッシング症候群 副腎皮質ホルモン(ステロイド)が体の中で異常に多く作られるために生じる病気です。顔が丸くなってきたり、お腹などに妊娠線のような肉割れができたりします。内分泌内科でしっかりとした精密検査が必要です。

ステロイドざ瘡 塗る薬でも、飲む薬でもステロイドを使うことでニキビが悪化します。初めてかかる病院には、お薬手帳を持参しましょう。

ひょっとしたらニキビじゃないかも?

診察時、ニキビと患者さんが考えていたとしても医師はあらゆる可能性を考えます。場合によりニキビじゃないこともあります。最初の入口が間違うと必要のない治療をしてしまうことにもなりますので、診断をつけるのは大切なことです。ニキビには「面疱(めんぽう)」があることが診断上大切です。

ニキビと区別すべき皮膚症状

酒さ(しゅさ) 顔の赤み、ほてりが主な症状で長年続くことも多い原因不明な疾患です。進行してくるとニキビ様のぶつぶつがみられることがあります。 

酒さ様皮膚炎 ステロイド外用剤の副作用で酒さのような症状が出ます。かゆみもあって辛いのですが、ステロイドを中止しなければなりません。

顔面播種状粟粒性狼瘡(がんめんはしゅじょうぞくりゅうせいろうそう:LMDF)赤いぶつぶつがたくさんできます。ミノマイシン®などの飲み薬を使うことが多いです。

稗粒腫(はいりゅうしゅ) 白ニキビと間違えます。塗り薬には反応しないため、除去します(保険適応)。

ニキビ治療をどう行っていくべきか

ニキビを治すために大切なことを箇条書きします。

・早期からしっかりと病院で治療を始め、ニキビ跡を予防する

・炎症性皮疹(赤ニキビ、黄ニキビ)をできるだけ早く治す

・抗生物質は、耐性菌を作らないようにできるだけ短い期間使用する

・日頃のスキンケアを最適化し、ニキビを予防する

・面皰治療はしっかり継続して目に見えないにきびまで治す

・ニキビ跡と思っているところもまだニキビが残っているので、長い期間治療する

 

 

ニキビ治療の根幹は面疱(めんぽう)治療

面疱治療に使う基本的な塗り薬

通常、この4種類から塗り薬を選んで処方します。デュアックは抗生物質が入っているため長期使用には向きませんが、それ以外の3種類は1年以上の長期に塗ることをお勧めしています。

ディフェリンゲル(アダパレン) ビタミンA誘導体と似た作用を持ちます。角化を抑える働きがあるため、面疱ができにくくなります。

ベピオゲル(過酸化ベンゾイル) 抗菌作用、ピーリング作用を併せ持つため、ニキビ菌への殺菌と面疱治療ができます。抗生物質ではないため、耐性菌が発生しないことが特長です。

デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル/クリンダマイシン) 過酸化ベンゾイルにクリンダマイシンという抗生物質が配合されています。これらを併用してすることでニキビ菌の耐性化が防止しやすいようです。

エピデュオゲル(アダパレン/過酸化ベンゾイル) 配合剤であり、1種類で幅広い効果を出せます。刺激感などの副作用に注意が必要です。

ニキビに使うその他の塗り薬

抗生物質の塗り薬です。単独で使用すると耐性菌発生のリスクがあるので、上の面皰治療ができる塗り薬と一緒に使います。刺激感が無く塗りやすいのですが、単独では使用すべきではありません。

ダラシン(クリンダマイシン) ゲル、ローション

アクアチム(ナジフロキサシン) クリーム、軟膏、ローション

ゼビアックス(オゼノキサシン)1日1回塗るローションタイプの塗り薬です。

ニキビに使う飲み薬

抗生物質 ニキビ菌を退治することで効果を発揮します。長期間の内服をなるべく行わないように急性炎症期の状態を早く脱することが大切になります。

漢方薬 十味敗毒湯が有名です。症状に応じて使い分けを行います。効果は知られていますが、どのようなメカニズムで効くかよく分かっていないことも多いです。

抗生物質や漢方薬、その他の内服薬はニキビに効果を発揮しますが、面皰の治療にはならないので、飲み薬だけでニキビを治せる訳ではありません。塗り薬と併用して相乗効果を発揮するとよいですね。

ニキビの治療がうまくいかないとき

薬の塗り方を見直す:塗り薬は治療開始後1ヶ月以内に副作用が出やすいです。ヒリヒリしたり、赤くなったりすることもあります。刺激症状のこともありますし、お薬にかぶれてしまうこともあります。その場合はよく相談の上、適切な塗り方を決めていきます。

スキンケアを見直す:ニキビでお困りの際はケアをシンプルにすることをおすすめしています。うまくいかないときには基礎化粧品を減らしてみましょう。ニキビのケアは「引き算」がおすすめです。洗顔はゴシゴシしないよう1日2回、優しく行いましょう。

悪化因子を見つける:お化粧はノンコメドジェニックのものを使っていますか?クレンジングなどで油分の多いものを使っていませんか?ニキビを隠すようなメイクをしたり、コンシーラーでにきびをベッタリ隠していませんか?悪くなる原因は色々です。

治療法を見直す:飲み薬を追加する、塗り薬を変更するなどが一般的です。定期的に治療の効果を確認することも重要です。効果がない場合、ダラダラと同じ治療を継続しないようにしたいですね。保険診療での治療でうまく行かない時は、当院ではケミカルピーリングやライムライト、ジェネシスなどの自費診療に切り替えることもあります。

まとめ:ニキビの治療目標は?

ニキビの治療目標は面疱(白ニキビ、黒ニキビ)もしっかり治し、ツルッとした状態をめざすことです。

このページであなたにお願いしたいことは1点だけです。ニキビで悩んでいるのであれば、すぐお近くの皮膚科に行きましょう。

いつまでに治したい、という希望も大事です。そのようなご希望をお伝えいただくことで、治療戦略をしっかり立てていきやすくなります。患者さんと医師が一緒の目標を立て、そこに協力して向かっていくことが治るための近道です。

ニキビは「面疱(めんぽう)」の治療が大切です。そのためには早いうちに皮膚科に行き、しっかり原因を治し、悪化する要因を見つけて取り除いてツルッとしたお肌を目指しましょう!

当院専門外来受診の際はこちらをご利用下さい。

参考文献

(1)林伸和ほか 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017. 日皮会誌:127(6),1261-1302,2017