紫外線による皮膚ダメージ
日焼け
日に当たって起こる問題は、いくつかありますが、誰でも起こりうる事として大切なのはいわゆる「日焼け」です。そのうち、サンバーンは日に当たって赤くなる反応で、紫外線の中でもUVBが大きな役割を果たします。ひどくなるとヤケドと同じように赤く腫れ上がったり水疱などを生じます。あまりにひどい日焼けをしてしまうと全身のヤケドと同じように入院が必要になるケースもあります。また、日焼け後数日してから色が濃くなっていくサンタンも生じます。これはUVA, UVBが関連します。
光老化
長期的な問題としては皮膚の「光老化」があります。シミ、シワ、たるみなどとともに、日光角化症、皮膚癌などの病気の原因にもなります。お年寄りのお肌を例にとって考えてみます。お年寄りの頬や目尻などには深いシワがあります。その一方、あまり日に当たらないお腹などにはそのような深いシワはそれほど目立ちません。加齢による自然老化と光老化の差はそこにあります。
光線過敏症の方に必要な対策
光線過敏症の方は通常だったら日焼けしない程度の紫外線量でも日焼け反応を起こしてしまう方がおられる一方、日焼け止めや湿布などを使用した部位が赤くなってしまう光接触皮膚炎という問題も考えなければなりません。光線過敏症の方は原因を探ることが大切です。光線過敏症を起こす薬剤、サプリメント、食品などを摂取していないかどうかはまず調べるべきです。膠原病などの光線過敏症をおこす全身疾患が隠れていないかも場合により調べる必要があります。光接触皮膚炎は湿布が一番有名ですが、紫外線吸収剤含有のサンスクリーンで光接触皮膚炎を起こすことがありますので、使用しているサンスクリーンにどのような成分が入っているかはチェックしましょう。
紫外線対策
日焼け、光老化対策に大きな違いはありません。環境省作成の「紫外線環境保健マニュアル2015」には、以下のように推奨されています。
紫外線の強い時間帯を避ける
日陰を利用する
日傘を使う、帽子をかぶる
衣服で覆う
サングラスをかける
サンスクリーンを上手につかう
サンスクリーンの基礎知識
サンスクリーンを使う際に知っておいた方がいいこととしては、SPF (Sun Protection Factor)と PA (Protection grade of UV-A)です。 SPFは主にどれだけUVBを防ぐか、という指標です。紫外線を当てて、翌日わずかに赤くなる反応が出る最小の量を最小紅斑量(MED: minimal erythemal dose)といいますが、サンスクリーンを塗ることでそのMEDが塗ってないときの何倍延長するか、という値がSPFになります。ということは、SPF50とは20分で日焼けする人にサンスクリーンをつけると20×50 = 1000 分となります。16 時間以上焼く人はそういないですよね。また、PAはUVAを当てた後に皮膚が黒化する反応を指標として、サンスクリーンでどの程度防げるか、ということを表しています。+から++++までの4段階に分けられています。
サンスクリーンの使い方ですが、大切なことは適材適所、そしてこまめな塗り直しです。買い物に行くくらいの時であれば、SPF, PAは高くなくても大丈夫ですが、海水浴や炎天下でのスポーツをされる方はSPF, PAが高いものの方が良いでしょう。光線過敏症の方は日常生活でもSPF, PAが高いものを使った方がよいと考えられています。また、サンスクリーンは徐々に汗などで落ちていきますので、2-3時間おきに塗り直すことが大切です。お子さんにもサンスクリーンは大切です。安全面を考えると紫外線吸収剤不使用のものを使用しましょう。ノンケミカルと表示されていることもあります。当院で扱っている紫外線吸収剤不使用のサンスクリーンではNOVの商品が人気です。界面活性剤が配合されていない低刺激な製品、beautiful skinのノンUVミルクもあります。
シーンごとの日焼け止めの選び方
散歩や買い物などの日常生活でも日焼け止めは必要ですが、SPF 10程度でも十分です。ちゃんと塗れている状態であれば、10倍日焼けしにくい状態になっていますのでちょっとした外出なら大丈夫です。
飲む日焼け止めを当院でも扱っています。国産のU.Vlockというサプリメントです。1日1回飲むことで日焼け後の赤くなる反応が減少するという試験結果があり、有効性はある程度示されています。しかし、日常の紫外線量を考えるとサンスクリーンは必須であり、サンスクリーンの働きを補助的に高めるもの、と考えた方がよいでしょう。
一方、紫外線の良いところは、ある特殊な波長を使えば乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑などの治療に有効であるという点、ビタミンDを生体内で合成するのに役立つ、という点にあります。もし、日に当たるなら朝夕の紫外線量が少ないときがオススメです。