乾癬は非常に長い経過をたどるため、大変めんどくさいです。治療は病院で行いますが、それ以外の日常生活でもいろいろな心配事が出てくるものと思われます。そのため、患者さんによく聞かれることを中心に日常生活のヒントをまとめてみました。
食べ物は?
→乾癬の原因となる食べ物はありません。何を食べても構わないのですが、高カロリー、高脂肪食は糖尿病やメタボリック症候群のリスクを高めることで乾癬を悪化させることがあり得ます。そのため、野菜は多く、バランスの取れた食事を召し上がるとよいかと思います。
嗜好品は?
→お酒は適度ならば乾癬を悪化させることはありません。アルコールについては十分なエビデンスはありませんが、リスクを上げる可能性が示唆されています。また、乾癬患者さんはアルコール消費量が多いようです(Brenaut E et al: J Eur Acad Dermatol Venereol 2013)。深酒はよくありません。タバコは乾癬を悪化させる可能性、さらには乾癬治療薬の効果を落とす可能性があります。コーヒーと乾癬には明らかな関連はないようです(Li W et al: Arch Dermatol 2012)。
お風呂、温泉は?
→お風呂やシャワーは体の汚れを落とし、リラックスにつながるので大切です。体を洗うときにタオルでこすり洗いをすることは乾癬を悪化させますので、やめましょう。また、カサブタをむしる事も悪化につながります。温泉については、北海道の豊富温泉が有名ですが、いくつかの温泉で乾癬への有効性が噂されています。逆に泉質によっては悪化するリスクもあります。いずれにしても、温泉に入ること自体はリラックス効果もありますので、温泉に入る前に主治医と一度相談することが重要です。また、お湯から出たら水道のシャワーで体をすすいでから上がるようにして下さい。
皮膚への刺激を避ける
→乾癬の患者さんには、皮膚をひっかいたり擦ったりすることで乾癬の新しい病変が出来ることがあります。これを「ケブネル現象」といいます。そのため、カサブタをむりにはがしたり、お風呂で擦ったりすることは乾癬を悪化させるため、避けましょう。
塗り薬
→塗り薬はやさしく塗り伸ばすようにすることが大事です。お薬はけっしてすりこんではいけません。擦り込むことでケブネル現象を引き起こすことがあります。かゆみで掻きむしることを防ぐためにも、こまめに保湿することが大切です。
乾癬に対する悩みを改善するために
乾癬のブツブツ、かゆみ、見た目、痛みでのストレスはかなりのものがあります。大切なことは一人で抱え込まないことです。当院を受診していただき、悩みについてご相談いただくことも大切です。当院では乾癬患者会の支援をしており、悩みを相談する相手がない方、乾癬についてより知りたい方に対して患者会への参加を勧めています。参加者の方がお互いの皮膚の悩みに心を寄せ、共感し合うことは何よりも重要です。心の安定は症状の改善にもきっとつながると思います。福岡県には「ふくおか乾癬友の会」があり、院長が相談医をしております。