イブグリースとは

イブグリース皮下注250mg(一般名:レブリキズマブ[遺伝子組換え])は、インターロイキン(IL)-13に結合するIgG4モノクローナル抗体です。既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎への適応があります。製造販売承認はされましたが、まだ発売されていません。

イブグリース皮下注250mgオートインジェクター(剤形)
イブグリース皮下注250mgオートインジェクター
イブグリース皮下注250mgシリンジ(剤形)
イブグリース皮下注250mgシリンジ

イブグリースのはたらき

レブリキズマブはIL-13をブロックする抗体です。IL-13をブロックし、以下のように働きます。

1.IL-13に強い親和性で結合
2. IL‐4Rα/IL‐13Rα1がヘテロ二量体化するのを阻止する
3. 受容体からのシグナルが細胞内に伝わらずIL13による免疫反応が起こらなくなる
4. IL-13Rα2に結合するのは邪魔しません

IL-4, IL-13はアトピー性皮膚炎の病態を作る上で重要な役割を果たすサイトカインです。これらのサイトカインは皮膚炎、かゆみ、皮膚のバリア機能に影響を与えます。つまり、これらのサイトカインをブロックすることはアトピー性皮膚炎の病態の本質を改善させる、ということもできると考えられます。

レブリキズマブとトラロキヌマブの違い

同じIL-13抗体として、トラロキヌマブ(アドトラーザ®)というお薬がすでに発売されています。こちらはIL-13がIL‐13Rα1とIL-13Rα2両方にくっつくのをブロックします。

IL-13Rα2はどんな働きをしているのか、実のところよくわかっていません。decoy(おとり)受容体とも言われています。そのため、IL-13Rα2をブロックすることでよい結果につながるのか、副作用の懸念があるのか、などはわかっていません。

イブグリースの効果

日本人を対象とした国内第III相併用療法試験[KGAL試験(ADhere-J試験)]の導入投与期間(0-16週時)の主要評価項目である、16週時にEASI75を達成した被験者の割合は、レブリキズマブQ2W+TCS群では51.2%(63/123例)、レブリキズマブQ4W+TCS群では47.2%(38/81例)でした。

用法および用量

対象患者さん

成人の既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
12歳以上かつ体重40kg以上の小児の既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎

投与法

レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回及び2週後に1回500mg、4週以降、1回250mgを2週間隔で皮下投与します。なお、患者の状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することができます。

レブリキズマブは半減期が長いため、4週間隔での投与も可能です。

注射剤単独での使用は推奨されておらず、ステロイドなど抗炎症外用薬の併用が望ましいです。

当院でもレブリキズマブの治験を行いました。参加された患者さんの喜んだ顔をはっきりと覚えています。この薬がアトピー性皮膚炎の治療薬として大いに役立つことを期待しています。