夏にパステルカラーのシャツを着ている時など、汗染みができてお困りの方も多いと思います。このように脇汗が多い方はいらっしゃるのですが、簡便な治療がありませんでした。

ワキ汗で悩んでいる方に朗報です。多汗症に対する塗り薬が使用できます。

原発性腋窩多汗症に対して適応があります。当院でも多くの患者さんが受診され、実際に治療しています。

科研製薬のサイトより引用

エクロックゲルの薬価

薬価は 243.70円/g とのことです。1本20gなので、4874円です。3割負担で1462円になります。当初は1本ずつしか処方できませんでしたが、発売後1年が経過したため現在では1回の診察で2本以上の処方が可能になりました。

ソフピロニウム(エクロック)ゲルが効くメカニズム

科研製薬さんのサイトより引用 https://ecclock.jp/product/pharmacology/

エクリン汗腺(通常の汗が出るところ)から汗が出るためには、交感神経の終末よりアセチルコリンが放出され、M3受容体*に渡されることで指令が出されます。ソフピロニウム(エクロック)はこのM3受容体をブロックすることで汗をかく刺激を抑えます。

*M3受容体:ムスカリン受容体サブタイプ3

  

エクロックゲルの適応、用法、禁忌

12歳以上の原発性腋窩多汗症の方に適応があります。手足などには使用出来ません。

用法は、1日1回、両脇に塗るだけです。

閉塞隅角緑内障の方・排尿障害のある前立腺肥大の患者さんには禁忌となっています。

原発性腋窩多汗症の診断

国内のガイドライン(日本皮膚科学会:原発性局所多汗症診療ガイドライン2015 年改訂版)において、「温熱や精神的負荷の有無いかんに関わらず、日常生活に支障をきたす程の大量の発汗を生じる状態」と定義されており、わきの下(腋窩)に生じる場合、原発性腋窩多汗症といいます。

局所的に過剰な発汗が、明らかな原因がないまま6カ月以上認められ、以下の6症状のうち2項目以上あてはまる場合に多汗症と診断されます。

日本皮膚科学会ガイドライン:原発性局所多汗症診療ガイドライン2015 年改訂版

最初に症状がでるのが25歳以下であること
対称性に発汗がみられること
睡眠中は発汗が止まっていること
1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
家族歴がみられること
それらによって日常生活に支障をきたすこと

重症度判定

重症度を自覚症状で評価する尺度であるHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)により、患者さんの自覚症状によって1~4の4つに分類します。3または4に該当する場合を重症の指標とします。

Strutton DR, et al.: J Am Acad Dermatol. 2004; 51(2): 241-248.

スコア1 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
スコア2 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
スコア3 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
スコア4 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

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