アトピー性皮膚炎がある方は、見た目の問題や皮膚のトラブルで気になることが多いです。そのため、それぞれのお悩みで美容医療を検討されることも多いと思います。しかし、皮膚がデリケートなので、いろんな施術に興味があったとしても多くの施設で施術を断られてしまうことも多いです。そうはいっても諦める必要はありません。アトピー性皮膚炎があっても色々と可能なものはあります。ただし、お悩みによってはアトピー性皮膚炎の治療をしっかりやるべきものも多いです。
アトピー性皮膚炎のある方が美容医療を考えていく際に色々と検討すべき問題があります。症状そのもののお悩み、乾燥肌、色味の問題、肌質の問題に分けて考えると整理しやすいです。施設の選び方、お悩み別の治療の考え方、注意点を解説します。

事前に検討すべき内容

アトピー性皮膚炎があると、施術の後にかゆみや赤みなどのトラブルが起こることもありえます。クリニック選びをする際は、美容医療よりもアトピー性皮膚炎の知識が豊富な医療機関を選ぶことが良いでしょう。まず、皮膚科専門医をもつ医師がいる施設であるかどうかは大切です。気になるクリニックがあったら皮膚科専門医マップで確認するのも良いでしょう。皮膚の状態が良くないときに無理に施術することがないでしょうし、必要がないのに施術を断られることもないでしょう。そしていちばん大切なアトピーについて頼れる主治医になります。また、美容医療を行う前には、必ず医師と事前に相談することが大切です。その際、何の施術をやりたいか、ではなくどのような肌の状態を目指したいのか、解決したい肌の悩みはどのようなものか、をなるべく具体的にイメージしておくことが大切です。アトピー性皮膚炎の症状の程度や状態によって、施術内容や使用できる製品が異なるため、事前に医師と相談して適切な施術方法を決めることが必要です。また、症状によっては美容医療の前にアトピー性皮膚炎の治療を優先すべき状況もありえます。美容医療を行う施設とアトピー性皮膚炎の治療を行う施設が異なる場合は、お悩み、やりたい施術、目指す肌の状態、今のアトピーの病状でどこまで治療できるか、などの情報を細かく共有することが望ましいです。そして、入学式、結婚式、同窓会など大切な予定が予めわかっていた場合、そこに向けてどう「自己ベスト」の肌状態を作っていくかを逆算して計画していくと良いでしょう。

皮膚科専門医を持つ医師がいる施設を選ぶ
事前に施術内容、お悩みをしっかり相談する
目指したい肌の状態をイメージしてなるべく具体的な言葉にしておく
美容医療を行う施設とアトピーの主治医が異なる場合は、特によく相談しておく
大事な予定は前もって把握し、事前にしっかり準備して計画する

お悩み別の対処法

アトピー性皮膚炎の症状そのものでお困りの方

治療の根本的な見直しを行うことが大切です。アトピー性皮膚炎の治療で大切なのは、しっかり症状を沈静化させることです。これを寛解導入といいます。また、その寛解をどう維持させるか、しっかり定期的なフォローアップも必要になります。塗り薬、飲み薬だけでなく、光線療法、生物学的製剤(デュピクセントミチーガ)による治療も、当院では経験豊富です。この際、アトピーの症状を寛解させることも今後の美容を考えていく際に重要なことです。

乾燥肌でお困りの方

乾燥と思っていても、皮膚炎の症状が目立つこともあります。乾燥肌がうまく治らないときは、皮膚科で治療しましょう。まずはアトピー性皮膚炎の治療をきちんとやることが大切です。また、メソアクティスを使い、ヒアルロン酸の導入を行うことで保湿を強化することも可能です。

エレクトロポレーション法で薬剤を導入するメソアクティスです。これを用い、各種ビタミンや、美白剤などを一挙に導入することが可能です。

  

皮膚の色味が気になる方

お肌の色調はメラニンを中心とした茶色の色素による問題と、ヘモグロビンを中心とした赤みによる問題から構成されます。それぞれの悩みは複合していますので、整理してから対処する方が良いです。

茶色の色味、色素沈着

お顔、首などに色素沈着があり気になっている方はメソアクティスを用い、ビタミンCやアルブチン、トラネキサム酸といった美白剤を導入します。長年続いた口唇炎により唇のシミが気になる方はQスイッチルビーレーザーで改善させることが可能です。首や背中など、長年アトピー性皮膚炎の症状が高度だった場合、メラニン色素が皮膚の奥深く入り込んでしまうことがあります。これを組織学的色素失調といい、灰色〜青黒い色味が特徴です。この場合はQスイッチレーザーなどの治療が必要になります。広い範囲の色素沈着にこのようなレーザーを用いるとまだらになるので注意しながら施術していくことが必要です。

赤み

アトピー性皮膚炎があると、いくつかの理由で赤みが気になることが多いです。

アトピー性皮膚炎の症状そのもので赤みが出ること、ステロイド外用薬の副作用での赤み

皮膚炎が起こっている際の赤みには、通常の治療を強化することはもちろんですがメソアクティスでビタミンB12の導入を併用すると改善が早くなります。ステロイド外用薬の副作用で毛細血管拡張が気になっている方は、ロングパルスNd:YAGレーザーの照射で改善させることが可能です。当院ではジェネシスをよく用いています。酒さ様皮膚炎の場合は、ステロイドなどの外用薬を中止して保湿を減らし、保険診療でメトロニダゾール(ロゼックス®)ゲルを塗ることを中心とした治療を行います。ジェネシスを使用することも有効な手段です。

アトピー性皮膚炎にまつわる赤み

アトピー性皮膚炎の症状による赤み
ステロイド外用薬の副作用による赤み(毛細血管拡張)
外用薬の副作用によるしゅさ様皮膚炎

ロングパルスNd:YAGレーザーです。ジェネシスとして照射することも、毛細血管拡張の治療としてスポット照射することも可能です。

  

皮膚のごわついた質感が気になる方

苔癬化(たいせんか)というアトピー性皮膚炎の慢性的につづく症状の事が多いです。適切に治療し、改善させていきましょう。メソアクティスで繰り返し施術していくと、皮膚の質感が改善してふっくらしてきます。乾燥が気になる場所は、細かいシワが目立つこともあります。そこも塗り薬でしっかり治療すべきところです。ジェネシスも有効です。また、かゆみがなくても、皮膚炎が残っていることもよくあります。長期的に塗ることができるタクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストなどの消炎作用がある薬を続けることも大切です。

シワが気になる方

アトピー性皮膚炎の症状が長く続くと、おでこや目元などに細かいシワができてくることがあります。また、その周囲の皮膚がごわついた質感になることが気になります。このシワの大半はアトピー性皮膚炎の症状が治りきっていないことが原因でおこります。つまり、シワが気になっている場合はまずアトピー性皮膚炎の治療を強化する、ないし見直すことが一番大切になります。この状態で、レチノールなどのシワに効果がある化粧品を使うとA反応と称する副反応が出てかえって痒くなります。まずは皮膚炎をしっかり治すことだけでもシワの改善は期待できます。、レチノールの使用はアトピー性皮膚炎がしっかりコントロールできている状態であれば可能ですし、効果も出しやすいです。また、皮膚炎がある程度コントロールできていれば、ボトックスの注射も可能です。

当院でできるおすすめ施術

炎症後色素沈着・・・・・・・・・メソアクティス、シスペラ
さざ波様色素沈着・・・・・・・Qスイッチレーザー、シスペラ
アトピーの症状による赤み・・・・メソアクティス
ステロイドの副作用による赤み・ジェネシス、Nd:YAGレーザー
酒さ様皮膚炎・・・・・・・・・・ジェネシス
苔癬化、ごわつき・・・・・・・・ジェネシス
シワ・・・・・・・・・・・・・ジェネシス、メソアクティス、ボトックス

ムダ毛が気になる方

ムダ毛は、アトピー性皮膚炎の患者さんにつきまとう問題です。元々のムダ毛もあれば、ステロイド外用剤の副作用として増えてくるムダ毛、という問題がさらにのしかかります。また、多くのサロンや美容外科では、アトピー性皮膚炎があるという理由で脱毛の施術を断られます。当院は皮膚科専門医が常駐する医療機関であり、皮膚のトラブルがあっても治療できますので、脱毛も気軽に相談してください。

脱毛後には、肌の状態を確認し、適切なアフターケアを行うことが大切です。アトピー性皮膚炎の患者さんは、肌が乾燥しやすいため、保湿剤を使用することが望ましいです。また、肌が炎症を起こした場合には、適切な治療を受けることが必要です。そのため、いつでも相談できる皮膚科専門医を味方につけておくことは大変重要です。

ムダ毛を減らすことで、ムダ毛処理というかゆみの原因の一つを減らすことにもつながります。脱毛するとアトピー性皮膚炎の皮膚症状は改善することも可能です。つまり、アトピー性皮膚炎のある方には脱毛がオススメなのです!

実際の診療の流れ

美容医療を色々と検索し続けている方は、流行っている施術やドラマチックな変化がある施術を希望されることが多いと思います。また、お友達がやった施術をやってみたい、などのご希望もあると思います。ただ、アトピー性皮膚炎のある方に大切なのはダメージを最小限にする施術です。現在の皮膚のコンディションを把握して理想の肌を事前にしっかりと相談し、準備することが重要になります。そのため当院ではカウンセリングを重視しています。

結婚式、成人式など大切な予定がわかっている方は、最低でも半年前から準備を始めるとよいです。前撮りの予定、着るドレスの種類やデザインも確認しておくことが大切です。カウンセリングで何でも相談してください。

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